鉄道の地下化によって生まれた全長約1.7キロメートルに及ぶ広大な線路跡地は、「下北線路街」という名の巨大なカルチャーパークへと結実した。かつて街を南北に分断していた鉄路は、緑豊かな歩行者専用道路や個性派テナントが連なるオープンスペースへと生まれ変わり、街の回遊性を根底から変革している。商業施設「reload(リロード)」に並ぶミニマルなギャラリーショップや、宿泊施設「由縁別邸 代田」の静寂は、かつての猥雑な下北沢像を軽やかに更新した。
一方、京王線高架下に誕生した「ミカン下北」は、アジアの屋台街を思わせる熱気とコワーキングスペースが混ざり合う実験場だ。「ようこそ。みかんせいな街へ。」というコンセプト通り、未完のエネルギーを放ち続けるこの空間には、昼夜を問わず若きクリエイターや地元住民が交差する。小田急電鉄主導の整然とした開発と、高架下の土着的なエネルギー。二つの異なる開発思想が絶妙なバランスで街に奥行きを与えている。