結論から言えば、単体の精子を肉眼で捉えることは不可能だ。射精された精液が白濁して見えるのは無数の細胞や分泌液の集合体だからであり、個々の細胞は光学顕微鏡のレンズを通して初めてその全貌を現す。
精子の全長はおよそ50〜60マイクロメートル(µm)。1ミリメートルのわずか20分の1程度に過ぎない。この小さな身体は、主に3つのパーツで構成されている。
遺伝子情報(DNA)が凝縮された「頭部」は、長さ約4.0〜5.0マイクロメートル(µm)、幅2.5〜3.5マイクロメートル(µm)の滑らかな楕円形を描く。その後ろに続く「中片部(首回り)」は約4.0〜5.0マイクロメートル(µm)で、推進力を生み出すミトコンドリアがらせん状にぎっしりと敷き詰められている。そして全体の8割以上を占める「尾部(鞭毛)」が約40〜50マイクロメートル(µm)の長さにおよび、1秒間に数十回という驚異的なピッチで波打ち、前進のエネルギーを生み出す。