実際にこれらの長大トンネルを利用するドライバーや乗客は、現地でどのような状況に直面しているのでしょうか。SNS上の投稿やドライバーコミュニティに寄せられる生の声、長距離トラッカーへのヒアリングから、現場のリアルな実態が見えてきます。
山手トンネルを初めて走るドライバーが最も驚くのは、「出口が見えない閉塞感」と「独特の車内環境」です。利用者の声からは、次のような実情が頻繁に語られます。
「大井JCTから足立方面へ抜ける際、地下空間が延々と18kmも続き、途中で現在地感覚が完全に狂いそうになる」「夏場に渋滞へ巻き込まれると、トンネル内の気温表示が平気で38度〜40度近くまで跳ね上がり、エアコンが悲鳴を上げる」「ジャンクションの分岐が左右に連続して現れるため、ナビのGPSが狂った瞬間に致命的な分岐ミスをしてしまう」といった声です。過密都市の地下ゆえに熱がこもりやすく、現在では大規模なミスト冷却装置や超巨大換気塔がフル稼働していますが、長大地下空間ならではの過酷さは依然としてドライバーの集中力を削ぐ要因となっています。
一方、山岳高速道路の代表格である関越トンネルでは、天候の劇的な急変がドライバーを震撼させます。かの川端康成が『雪国』の冒頭で描いた情景そのままに、「群馬側の水上IC付近は小雨だったのに、11kmの暗闇を抜けて新潟側の土樽に出た瞬間、前が見えないほどの猛吹雪と完全圧雪路面に一変していた」という体験談が毎年後を絶ちません。長大トンネルは単なる通過点ではなく、列島を東西・南北に隔てる気候帯の境界線を一瞬で跨ぐワープトンネルとしての性質を帯びているのです。