現在、三井不動産、三井物産、三井住友銀行をはじめとする三井グループの主要各社は、社長会である「二木会(にもくかい)」などを通じてグループの連帯を保っています。しかし、そこに創業家である三井家の人間がオーナーとして直接関与することは一切ありません。
日本の財閥の中でも、三井は江戸時代から「所有と経営の分離」を最も先駆的に実践してきた歴史があります。明治期からすでに優秀な番頭に経営権を委ねていた経緯もあり、戦後の完全な株式会社化と近代コーポレートガバナンスへの移行は極めてスムーズでした。
グループ企業側にとって、三井家は今なお創業の精神(「不屈の開拓精神」「人を育てる社風」)の象徴であり、深い敬意を払うべき存在です。創業家側も企業の自律的な経営を全面的に尊重しており、両者の間には資本の支配関係を超えた、健全で節度ある文化的・精神的リスペクトが確立されています。