常に穏やかな笑顔を絶やさず、優しい口調で他者に接していたしのぶ。しかし、その内面には消えることのない激しい怒りの炎が渦巻いていた。幼少期に両親を鬼に殺され、悲願だった鬼殺隊での日々においても姉・カナエを亡くすという絶望の過去を背負っている。
原作者の吾峠呼世晴は、過酷な運命に翻弄される人間の気高さを緻密な心理描写で表現した。株式会社集英社から刊行された原作コミックスでも高い評価を得たこの描写は、ダーク・ファンタジーというジャンルの枠組みを超え、多くの読者の涙を誘った。「鬼と仲良くする」という姉の儚い夢を継承しようともがきながらも、心の底で煮え滾る憎しみと戦い続けた二面性こそ、彼女の生き様を極めて人間らしく見せる理由である。