巷でよく耳にする「ホンビノス貝は砂抜き不要」という噂。これは生態学的に「泥底深くに潜らず海水を吸い込む水管が短いため、体内に砂を溜め込みにくい」という特徴から来ており、事実の一面を捉えています。しかし、買ってきた状態のまま鍋へ投入するのは避けるのが賢明です。
ホンビノス貝の体内には砂こそ少ないものの、海水由来の強い塩分や微細な泥、殻の溝に入り込んだ汚れが付着しています。下処理を怠ると、料理全体の塩分が強くなりすぎたり、生臭さが残ったりする原因になります。劇的においしく仕上げるための下処理ステップは以下の通りです。
まず、ボウルに張った水道水の中で貝同士を擦り合わせ、殻の表面にこびりついた汚れをタワシなどでしっかり洗い流します。続いて、塩分を適度に抜く「塩抜き」を行います。濃度1〜2%程度の薄い塩水(水500mlに対して塩小さじ1〜2弱)を用意し、暗い場所に2〜3時間ほど置いておくと、貝がリラックスして体内の余分な塩水やわずかな汚れをきれいに吐き出します。真水に長時間浸けると貝が窒息して死んでしまうため、必ず薄い塩水を使用するのがポイントです。