映画『ファンタスティック・ビーストと黒い魔法使いの誕生』のクライマックス、パリの地下墓所で見せた演説シーンは、シリーズ屈指の名場面として名高い。青い猛火(プロテゴ・ディアボリカ)を操りながら、来るべき第二次世界大戦の惨禍を予言してみせたグリンデルバルドは、自身を破壊者ではなく「救済者」として演出しきった。
続く『ファンタスティック・ビーストとダンブルドアの秘密』では、その野心はさらに狡猾さを増し、国際魔法使い連盟のトップに合法的に就任しようとする政治劇へとシフトする。神聖な麒麟(キリン)を欺瞞の道具として利用する姿には、かつての理想が権力欲へと堕落していく権力者の生々しい凋落が刻まれていた。正義の名のもとに不正義を行う――この転落のプロセスこそが、観る者に強い警鐘を鳴らす。