コウの放つ劇薬のような激しさに対し、物語の絶対的な支柱として輝きを放ったのが、大友勝利を演じた重岡大毅の存在だ。眉毛をいじられ、不器用に関西弁で笑いかける大友は、傷ついた夏芽にとって唯一の安全な居場所であり、観客にとっても暗闇の中で差し込む一条の陽光となった。
特に椿の花を耳に挿し、照れ隠しに歌うバッティングセンターやカラオケのシーンで見せた自然体の佇まいは圧巻だった。重岡が醸し出す飾らない温もりがあったからこそ、コウの持つ常軌を逸した孤高の闇が一層際立ち、思春期の残酷なコントラストが見事に成立したと言える。