古くから「精のつくスタミナ食」として珍重されてきた背景には、極めて高密度な栄養プロファイルがあります。管理栄養士の鈴木亜子氏が監修した食品栄養分析でも指摘されている通り、うなぎの肝焼きの栄養において群を抜いているのがビタミンA(レチノール)とビタミンE、そして鉄分や亜鉛などの必須ミネラル群です。
特にうなぎの肝に含まれるビタミンAは、粘膜や皮膚の健康維持、視覚機能のサポート、抗酸化作用に深く関与しており、身の部分を遥かに凌駕する濃度で蓄えられています。鉄分も豊富であるため、慢性的な疲労感や貧血に悩む成人にとって優れた滋養源となることは間違いありません。
しかし、その突出した栄養価ゆえにうなぎの肝焼きの食べ過ぎには医学的な注意が必要です。ビタミンAは脂溶性ビタミンであるため、水溶性のビタミンCやB群のように尿として体外へ排出されず、過剰に摂取すると体内の肝臓に蓄積します。短期間に大量摂取した場合、頭痛や吐き気、眩暈を引き起こすリスクがあり、特に妊娠初期の女性においては胎児への形態異常リスク(催奇形性)が報告されているため、厚生労働省の食事摂取基準においても過剰摂取に対する厳格な上限量が定められています。
さらに見逃せないのが、うなぎの肝焼きのプリン体と痛風の関係です。魚介類の内臓全般に言えることですが、細胞密度が高い内臓部位はプリン体の含有量が極めて高くなります。100gあたりのプリン体含有量は200mg〜300mgを超え、高尿酸血症や痛風の既往歴がある人にとっては、発作を誘発しかねない警戒食材です。
なお、気になるうなぎの肝焼きのカロリーは、タレ焼き1串(正味約30g)あたり約45〜60kcal程度です。カロリー自体は極端に高くありませんが、タレに含まれる糖質や凝縮された脂質、そして前述のプリン体・ビタミンAの観点から、成人であっても「1回の食事で1〜2串まで」に留めるのが、健康を損なわずに旨味を享受するための黄金律と言えます。