リコーダーには歴史的に発展した「バロック式(イギリス式)」と、20世紀初頭に運指の平易化を目指して開発された「ジャーマン式(ドイツ式)」の2大規格が存在します。日本国内では小学校の導入期にジャーマン式ソプラノが採用されるケースが多い一方、中学校のアルトリコーダーや世界標準の演奏体系ではバロック式が統一規格となっています。
この2つの規格差が最も顕著に現れるのが、まさに「ファ」および「ファ♯」の運指設計です。
- ジャーマン式の構造的特徴:下から3番目の音孔(第5孔)が第4孔よりも小さく設計されており、ハ長調の「ファ(F♮)」を「0・1・2・3・4」という単純な順次配列で鳴らせるメリットがあります。しかしその代償として、半音階である「ファ♯」の音程が物理的に不安定になり、ピッチが上ずりやすい構造的欠陥を抱えています。
- バロック式の構造的特徴:第4孔が第5孔より小さく、半音階を純正律・平均律に極力近づけるフォーク運指(またぎ指)を前提に音響設計されています。バロック運指図のFシャープに従えば、替え指を使わずとも安定したピッチが得られます。
ジャーマン式リコーダーで低いファ♯を演奏する場合、一般的な運指ではピッチが高くなりすぎる傾向があります。その際の有効なリコーダー ファ♯ 替え指として、右手薬指(6番)に加えて最下部の小指(7番)の穴を軽く覆う、あるいは右手人差し指(4番)をわずかに半分開ける微調整を行うことで、劇的にピッチを安定させることが可能です。