開頭手術を乗り越えたものの、残された後遺症は深刻だった。身体の麻痺、そして言語の障害。かつてカメラの前で凛とした佇まいを見せていた男が、日常のわずかな動作すら思い通りにならない葛藤に苦しむ。
浅野は女優業の合間を縫い、連日のようにリハビリに付き添った。世間の好奇の目を遮断し、静かな環境で彼の回復を願い続けた。理学療法士のアドバイスを聞き漏らさずメモを取り、自宅でのケア方法を学ぶ姿は、スター女優ではなく、一人のパートナーそのものだった。焦る田宮の心に寄り添い、「焦らなくていい、一緒に歩こう」と励まし続けた歳月。その努力が実を結び、一時期は杖をついて歩行できるまでに回復を遂げたのだった。