この土地の食文化を深く理解する上で外せないのが、「売り手よし、買い手よし、世間よし」で名高い近江商人の理念だ。質実剛健でありながら訪れる客を温かくもてなす精神は、地元の料理人たちの手仕事にもはっきりと現れている。取材班が現地で発掘した穴場グルメの筆頭は、八日市エリアの裏路地に佇む割烹や老舗の和菓子店だ。
鈴鹿の清流で育まれた岩魚や鮎の川魚料理、澄んだ名水で仕込まれる芳醇な地酒、さらには伝統的な発酵食を取り入れた滋味深い創作料理まで、素材の持ち味を極限まで引き出した逸品が揃う。賑やかな大通りから一歩入った路地裏の店で、店主と会話を交わしながら味わう一食は、旅の記憶をより深いものにしてくれる。