荻野貴司のキャリアを語る上で欠かせないのが、数々の重症を乗り越えてきた不屈の精神である。ルーキーイヤーに怒涛の連続盗塁を決め、彗星のごとく登場しながらも右膝の故障で戦線離脱を余儀なくされたあのシーズンから、彼の戦いは常に怪我との隣り合わせだった。
ハムストリングの肉離れや指の骨折など、度重なる離脱に見舞われながらも、リハビリを経て一軍の舞台へ戻ってくるたびに、彼は以前と変わらぬスピードを見せつけた。その姿は、単なるスピードスターという枠を超え、多くの人々に勇気を与えるアスリートとしての矜持そのものだった。