空間の美しさに目を奪われがちだが、常設展示の充実度も圧倒的だ。姫路が生んだ知の巨人・和辻哲郎の展示室では、名著『風土』や『倫理学』を執筆した当時の息遣いが、自筆原稿や愛用の書斎机から色濃く漂う。西洋哲学と東洋思想を架橋した哲学者の一生を追体験する構成は、思索の深まりを促してくれる。
播磨の地に深い縁を持つ司馬遼太郎の記念コーナーも必見だ。『播磨灘物語』をはじめとする作品群に描かれた歴史の躍動が、詳細な年表や取材資料を通じて立体的に蘇る。播磨ゆかりの作家や学者たち約50名を取り上げた展示室は、地方都市の文学館という枠を完全に凌駕した、日本近代文学の縮図そのものだ。