国内のインターネットコミュニティやSNS(旧Twitter・Yahoo!ニュースコメント欄・5ちゃんねる等)における岸田政権への投稿を定性分析すると、「なぜ海外には兆単位の支援を即決するのに、国民の減税や物価高対策には出し渋るのか」「支持率稼ぎのパフォーマンス外交」という手厳しい文脈が全体の7割以上を占めていました。手取り収入の伸び悩みとインフレが家計を直撃する中、外遊のニュースが報じられるたびに「また海外へのばらまきか」という怨嗟の声が渦巻いたのは記憶に新しいところです。
一方、外交・防衛関係の有識者やシンクタンク(米戦略国際問題研究所=CSISや英王立国際問題研究所=チャタムハウスなど)のペーパーでは、全く異なるリアリズムが語られていました。専門家たちは「日本が巨額の拠出を行うのは、有事の際に西側諸国から実質的な軍事・経済的コミットメントを引き出すための“保険料”である」と極めて冷静に計算していました。
バイデン大統領と岸田首相の関係が歴代屈指の強固さを誇った背景には、言葉だけの友情ではなく、双方が自国の政治的リスクを背負いながら「不可逆な軍事安保の枠組み」を構築した点にあります。バイデン氏は岸田氏を「勇気ある真のリーダー」と繰り返し呼びました。米政府高官の一人はオフレコ取材に対し「歴代の日本首相の中で、ここまでリスクを取って同盟国としての役割を果たした人物はいない」と吐露しています。一般国民が求めた「即座の生活防衛」と、専門家が見つめた「東アジア有事を抑止する国家存亡の防壁」。この視座の違いこそが、同一の行動に対する正反対の評価を生み出した本質です。