プロスポーツ産業の頂点に君臨するアスリートたちの姿を見れば、その実態はより鮮明になる。シアトル・マリナーズなどで数々の金字塔を打ち立てたイチローは、打席に入る際の一連の所作から、試合前の生活リズムに至るまで寸分の狂いもない習慣を貫いた。あれは外野から見れば奇妙なこだわりに見えたかもしれないが、スポーツ心理学の観点から見れば、雑念を極限まで排除する完璧なトリガーだった。
その系譜は現代の至宝、大谷翔平にも受け継がれている。グラウンドに落ちている小さなゴミを拾い上げ、ポケットに収める所作は有名だ。大谷本人はそれを「他人が落とした運を拾っている」と語る。運という目に見えない要素を自らの行動に結びつけ、謙虚さと集中力を同時に高める見事なメンタルコントロールの好例と言えるだろう。