川平慈英を語る上で欠かせないのが、文化人としての圧倒的な血脈と、長兄であるジョン・カビラ(本名:川平謙慈)との深い絆です。彼らは日本人の父親とアメリカ人の母親の間に生まれたハーフであり、家庭環境は極めて国際的かつ知性的な空気に満ちていました。
父の川平朝清氏は、戦後の沖縄放送界の礎を築いた人物であり、元NHKアナウンサーにして沖縄放送協会(現在のNHK沖縄放送局の前身)の初代会長を務めた伝説的な放送人です。一方、母のワンダ・ヘイズさんはアメリカ・カンザス州出身で、沖縄の学校で教鞭を執った教育者でした。3人兄弟の構成は、長男がラジオDJ・ナレーターのジョン・カビラ、次男の謙二氏はシカゴなどで活躍した元国際企業のエグゼクティブ、そして三男が末っ子の慈英です。
世間からは「2人は声もテンションもそっくりで区別がつかない」「ライバル関係なのではないか」と見られがちですが、兄弟仲は極めて良好です。長兄のジョン・カビラは低音の重厚な美声でFMラジオやサッカーゲーム『ウイニングイレブン』の実況として一世を風靡し、慈英は高音の躍動感あるトーンで視覚的なミュージカルとスタジアムの熱狂を体現してきました。過去の対談番組で慈英は「兄貴は僕の永遠のロールモデルであり、一番の理解者」と語っており、長男の知的な語り口と末っ子の奔放な身体表現という明確な棲み分けが、互いへの深い敬意を生み出しています。