富津の地に東京湾観音を築いたのは、東京都深川の材木商人であった宇佐美政衛(うさみ まさえ)氏です。宇佐美氏は第二次世界大戦の戦火を目の当たりにし、多くの尊い命が失われたことに深い悲痛を抱いていました。戦後の混乱期を経て「二度と悲惨な戦争を繰り返してはならない」「世界平和のシンボルを東京湾を一望できる聖地に築きたい」という一念から、私財を投げ打って建立計画を始動させました。
彫刻家・長谷川昂氏の原型をもとに、当時の最先端土木技術を結集して1961年(昭和36年)に完成。高さは56メートルに及び、東京湾を出入りする船舶の航行安全と、太平洋戦争における戦没者の鎮魂・世界平和への祈りが込められています。単なる観光モニュメントではなく、創設者の純粋な平和への誓いが結晶化した近代宗教建築遺産です。