カタカナが生まれた最大のきっかけは、平安時代初期における仏教僧侶たちの「漢文訓読(かんぶんくんどく)」でした。当時、中国から輸入された仏典や経典はすべて格式高い漢文で書かれており、日本の僧侶たちはこれらを日本語の語順や文法に合わせて読み解く必要がありました。
師匠の講義を聴きながら、経文の行間にあるわずかなスペースへ、発音や送り仮名、返り点を素早く書き留めなければなりません。しかし、当時の正式な文字である画数の多い漢字(万葉仮名)をそのまま書き込むには、あまりにも余白が狭すぎました。
そこで僧侶たちが編み出した工夫こそが、漢字の画数を大幅に削り、一部分だけを抜き出して記すことでした。つまりカタカナは、難解な経典を効率よく読むための「学習用スピードメモ」として誕生したのです。
この行間に書き込まれた記号や文字は古文書学において「訓点(くんてん)」と呼ばれ、現存する当時の経典を開くと、行間に細かく記されたカタカナの原型をはっきりと確認できます。