オープンと同時に店内に満ちる熱気は圧倒的だ。棚に並べられたパンは、どれも均一な大量生産品とは明らかに異なる表情を持つ。表面のクープ(切れ込み)の開き具合、焼き色のグラデーション、手に取ったときのずっしりとした重量感。一つひとつのパンに職人の息づかいが宿っている。
近年、国内のベーカリー産業では省力化や冷凍生地の導入が進む一方、素材と対話しながらゼロから焼き上げるアルティザンベーカリーへの再評価が急速に高まっている。日本ベーカリー協会の関係者も「消費者の舌はかつてないほど肥えており、本物の味とストーリーを持つ個店に支持が集まっている」と指摘する。パンの店ボノが放つ存在感は、まさにその潮流の頂点にある。