卵アレルギーのアナフィラキシーリスクを客観的に評価する上で、最も重要な科学的指標がインフルエンザワクチンの卵白アルブミン残存量です。卵白アルブミン(オボアルブミン)は鶏卵アレルギーの主要な原因アレルゲンの一つであり、ワクチン1回接種量の中にどれだけのオボアルブミンが含まれているかが安全性の鍵を握ります。
独立行政法人医薬品医療機器総合機構(PMDA)の公開資料や国内ワクチンメーカーの品質管理基準によると、現在国内で流通している季節性インフルエンザHAワクチンに含まれるオボアルブミン量は、1回接種量(0.5mL)あたり数ナノグラム(ng)〜多くても数マイクログラム(µg)未満に抑えられています。ナノグラムは10億分の1グラムという極小単位であり、日常の食事でアレルギーを誘発する摂取量(ミリグラム単位)と比較すると数十万分の1以下のレベルです。
アメリカ疾病予防管理センター(CDC)の予防接種諮問委員会(ACIP)が発表した方針においても、「卵を摂取した際に重度のアナフィラキシーを起こした病歴のある人であっても、卵アレルギーのない人と同様に、年齢に適したインフルエンザワクチンを特別な観察処置なしに接種できる」と明記されています。ワクチンの生物学的純度は、過去の懸念を完全に過去のものにするレベルに達しているのです。