「肌理」という表記を目にした際、大半の方が「肌理(きめ)」と読むはずです。実際、現代の日本語において「肌理が細かい」「肌理を整える」といった表現で使われる場合、その読みは「きめ」で間違いありません。これは漢字2文字に対して1つの訓(日本語の固有語)を当てはめた熟字訓(じゅくじくん)と呼ばれる読み方です。
しかし、漢音による音読みを用いた場合、「肌理(きり)」と発音します。「肌(き)」と「理(り)」それぞれの音をストレートに重ねた読み方で、東洋医学や古典的な文献、あるいは解剖学的な文脈において「皮膚のきめ・筋目」を指す学術的表現として用いられてきた歴史があります。
さらに、古くは「肌理(はだめ)」と読まれるケースもありました。「肌の目(すじ目)」が転じて「はだめ」となり、それが音変化して現代の「きめ」へと定着したという説も有力です。教養として「きり」というもうひとつの読み筋を押さえておくと、古典文学や専門書に触れた際にも戸惑うことがなくなります。