行政書士の根拠法である行政書士法第1条の2には、その主たる使命として「官公署に提出する書類」「権利義務に関する書類」「事実証明に関する書類」の作成および提出代理が明記されています。これらは「行政書士の独占業務」として法的に保護されており、無資格者が報酬を得て代行することは禁じられています。
実務の現場において依頼の大半を占めるのは、新たな挑戦や円滑な資産承継を支える手続きです。日本行政書士会連合会が公表している業務指針や現場の受託動向を紐解くと、依頼できる主要業務は大きく5つの柱に大別されます。
第1の柱が、事業者にとって死活問題となる許認可申請手続きの種類です。飲食店営業許可、建設業許可の新規・更新、産業廃棄物収集運搬業、宅建業免許、古物商許可、さらには近年の観光需要拡大を受けた民泊・旅館業法関連の手続きまで多岐にわたります。要件確認から現地調査、煩雑な添付書類の収集と行政庁との折衝までを一手に代行します。
第2の柱は、個人の生活に直結する遺言書作成と相続手続きです。公正証書遺言の文案作成から公証役場との事前調整、被相続人の戸籍収集を通じた法定相続人の確定、財産目録の調製、そして遺産分割協議書の作成までを担当します。関係者全員の合意が整っている状態を前提とした「争いを未然に防ぐ予防法務」がその本質です。
第3の柱は、スタートアップや個人の挑戦を支える会社設立サポートです。株式会社や合同会社の定款作成はもちろん、紙の定款で発生する収入印紙代4万円を不要にする「電子定款認証」の代理手続きは、コスト削減の観点からも定番の依頼となっています。
第4の柱が、深刻な人手不足を背景に需要が急伸しているビザ申請と在留資格手続きです。出入国在留管理局へ申請取次届出を行っている「申請取次行政書士」に依頼すれば、外国人本人や雇用主が地方出入国在留管理局へ自ら出頭することなく、就労ビザの取得や更新、永住許可、帰化申請の手続きを完了させることが可能です。
そして第5の柱が、契約書作成と内容証明郵便の実務です。金銭消費貸借契約書、業務委託契約書、秘密保持契約書(NDA)、離婚協議書などのリーガルチェックと書面化を行い、法的効力を持った意思表示として相手方へ送付する内容証明郵便の文案作成を担います。