フランス菓子界の巨匠ピエール・エルメをはじめとするトップランナーたちが、この動きに無関心でいられるはずがない。彼が長年追求してきた味覚の構築美と、極限まで無駄を削ぎ落とすミニマリズムは、根底において深く共鳴し合っている。優雅な会話と時間を楽しむ歴史的なフレンチカフェカルチャーは、今やノスタルジーの殻を破り、極めて前衛的な表現形態へとアップデートされた。
クラシックなテラス席の美学を継承しながらも、供されるプロダクトには容赦のない現代的解釈が施されている。歴史への敬意を払いながら、その様式美を軽やかに脱構築していく手法は、保守的な美食家たちの舌をも唸らせた。伝統とは守るものではなく、常に更新し続けるものだという強い意志が、空間の隅々にまで張り詰めている。