中古車市場の舞台裏である「オートオークション」の現場では、日々何万台もの車がプロの検査員によって厳密にチェックされています。オークション検査員の手元にある「出品票」には、一般のユーザーが決して目にすることのない赤裸々な車両のカルテが記されています。
出品票において、修復歴車には「評価点R点」または「RA点(軽微な修復)」という記号が付けられます。さらに車両展開図には、部品交換を意味する「XX」、板金塗装の波打ちを示す「W」、凹みを表す「U」、傷を示す「A」といった記号が細かくプロットされています。査定のプロたちは「どこの骨格にどんな力が加わったか」を一瞬で見抜き、粗悪な個体を容赦なく選別しています。
しかし、こうした出品票の原本をそのまま購入者に見せる販売店は決して多くありません。SNSや掲示板、相談サイトには、販売店の「綺麗に直っているから大丈夫ですよ」という言葉を鵜呑みにして契約したユーザーからの切実な後悔が溢れています。
「相場より30万円安かった人気コンパクトカーを購入。納車当日の帰り道、高速道路に乗った瞬間からステアリングが微振動を起こし、直進しているつもりなのに車がじわじわと左に寄っていく。ディーラーに持ち込んだところ『フロントフレームの修正痕があり、アライメント調整の限界を超えているためこれ以上直らない』と宣告された」(30代男性・会社員)
「大雨の日の翌朝、乗り込むと車内がカビ臭く、後部座席の足元が水浸しになっていた。内張りを剥がしてもらうと、以前のリア追突事故の修理でシーリングの施工が甘く、雨水がトランクの溶接隙間からフロアへ流れ込んでいた。配線ハーネスが腐食して電装系を丸ごと交換、修理代に45万円かかった」(40代女性・主婦)
現場取材で見えてくるのは、「納車直後のテストドライブでは分からず、雨天時、高速走行時、季節の変わり目など、負荷がかかった瞬間に隠れた綻びが噴き出す」という修復歴車の恐ろしい共通点です。