期限管理におけるもう一つの巨大な地雷が、カレンダー通りの連続した日数である「暦日(れきじつ)」と、土曜・日曜・国民の祝日を除外して数える「営業日(稼働日)」の混同です。
契約書に単に「90日」と書かれている場合、特段の定義がない限り法的には暦日(カレンダーデイ)としてカウントされます。しかし、開発プロジェクトの納期や調達リードタイムの文脈で「90営業日」と設定されている場合、その期間は全く別物へと変貌します。一般的な週休2日制(年間休日約120日)の企業において、営業日換算90日後を達成するためには、カレンダー上でおよそ125日〜130日前後(約4ヶ月半)の期間が必要となります。日数計算土日祝日除くという条件を見落としたベンダーが、納期に到底間に合わず巨額の遅延損害金を請求される事態は、システム受託開発の現場で日常茶飯事となっています。
さらに個人の人生に直結する深刻な領域が、ビザ90日滞在期限計算です。日本人が短期滞在(観光・商用)でビザ免除措置を受けて欧州のシェンゲン協定加盟国へ渡航する場合、「あらゆる180日間の期間内で最大90日まで」という厳密なルールが適用されます。
ここで極めて危険なのが、「入国日当日のカウント方法」です。欧州国境管理当局(Frontex)のガイドラインおよび各国入国管理局の実務において、シェンゲン協定圏内に入国した日(パスポートに入国スタンプが押された日)は、たとえ深夜23時59分の到着であっても「1日目」として算入されます。日本の民法が定める初日不算入の感覚で「翌日から90日」と数えていると、出国審査のブースで1日オーバーの「オーバーステイ(不法滞在)」を宣告され、高額な罰金と数年間にわたる入国拒否ペナルティを受けることになります。