万能に見える治療法だが、適応外となる病状は決して少なくない。例えば、全身に広がる微小な転移巣が存在するがんや、血液系のがん(白血病や悪性リンパ腫など)には局所治療である粒子線は適さない。さらに、胃や大腸などの管状臓器に生じた癌も、照射による壁穿孔や出血のリスクが高く、原則として適応外と判断されるケースが多い。
また、副作用が全くないわけではない。国際的な論文データベースであるPubMedや、日本の学術情報を扱うJ-STAGEに掲載された最新の研究報告によれば、照射部位に応じた皮膚炎や粘膜炎のほか、治療から数ヶ月〜数年を経て現れる晩期障害(組織の線維化や血管損傷、周辺組織の壊死など)のリスクが報告されている。周囲の正常細胞を守る力が強いからといって、無傷で済むとは限らない点には十分な注意が必要だ。