項王の最期を現代語訳!なぜ自刃したのか?史記の名場面と句法解説

項王の最期を現代語訳!なぜ自刃したのか?史記の名場面と句法解説

項王の最期を現代語訳!なぜ自刃したのか?史記の名場面と句法解説の疑問点について、最新情報を取りまとめてご紹介します。

教科書や定期テストで頻出する「陰陵で道に迷う場面」から「烏江での最期」までの本文、書き下し文、現代語訳、そして落とせない重要句法を順を追って解説します。

1. 陰陵道に迷う場面(垓下脱出)

【書き下し文】
項王は乃ち夜起ちて、帳中において飲す。(中略)項王即ち馬に騎りて慷慨し、従騎の壮士に下れる者は八百余人のみ。直夜に潰囲して南に出で、馳走す。平明なるに漢軍乃ちこれを覚り、騎将の灌嬰をして五千騎を以てこれを追わしむ。項王淮を渡るに、騎の従う能う者は百余人のみ。項王陰陵に至りて道を迷う。農夫に問う。農夫欺きて曰わく、「左せよ」と。左すれば乃ち大沢に陥る。このを以て漢追いて及ぶ。

【現代語訳】
項王はそこで夜中に起き上がり、本陣の天幕の中で別れの酒宴を開いた。(中略)項王はすぐに馬にまたがって悲憤慷慨し、従う騎兵の勇士で馬に乗った者はわずか八百人余りであった。闇夜のなか包囲を突破して南へ脱出し、馬を疾走させた。夜が明けると漢軍はようやくこれに気づき、騎兵大将の灌嬰に命じて五千騎で追跡させた。項王が淮水を渡ったとき、従うことができた騎兵は百人余りにすぎなかった。項王は陰陵に到着したところで道に迷ってしまった。農夫に道を尋ねたところ、農夫は項王を騙して「左へお進みください」と言った。言われた通り左へ行くと深い泥沼にはまってしまった。この足止めによって、漢軍の追撃が追いついたのである。

2. 東城での奮戦と「天の我を滅ぼす」宣言

【書き下し文】
項王乃ち復た騎を引きて東して東城に至るに、乃ち二十八騎有るのみ。漢の騎追う者数千人。項王自ら脱すべからず度る。其の騎に謂いて曰わく、「吾兵を起こしてより今八年。身七十余戦を経、当たる所は破れ、撃つ所は服し、未だ嘗て敗北せず。因りて天下を覇有す。然れども今卒にこの窮境に困しむ。此れ天の我を滅ぼすにして、戦の罪に非ざるなり。今日固より死を決す。願わくは諸君のために快戦し、必ずこれを潰し、諸君のために漢将を斬り、旗を抜き、諸君をして天の我を滅ぼすにして戦の罪に非ざることを知らしめん」と。

【現代語訳】
項王は部下を率いて再び東へ進み、東城にたどり着いたが、従う者はわずか二十八騎にすぎなかった。追跡してくる漢の騎兵は数千人に及ぶ。項王は自分自身もう逃げられないと判断した。そこで騎兵たちにこう告げた。「私が挙兵してから八年。自ら七十回以上の戦を戦い抜き、立ち向かった敵は打ち破り、攻撃した相手はすべて屈服させ、今まで一度たりとも敗北したことがなかった。その結果として天下の覇権を手に入れたのだ。しかしながら、今こうして最終的にこの追い詰められた苦境に陥っている。これは天が私を滅ぼそうとしているのであって、私の戦い方の過ちではない。今日という日は、もとより死を覚悟している。どうかお前たちのために痛快に一戦を交え、必ず敵の包囲を蹴散らし、漢の武将の首を斬り、軍旗を奪い取って、天が私を滅ぼそうとしているのであって戦術の過ちではないことを証明して見せよう」。

3. 烏江の亭長との対峙と壮絶な自刃

【書き下し文】
是に於いて項王乃ち東して江を渡らんと欲す。烏江の亭長船を艤して待つ。項王に謂いて曰わく、「江東小なりと雖も、地千里、衆数十万人、亦王たるに足る。願わくは大王急ぎ渡れ。今独り臣船を有す。漢軍至るも、以て渡る無きなり」と。項王笑いて曰わく、「天の我を滅ぼすに、我何ぞ渡ることを為さん。且つ籍江東の子弟八千人と江を渡りて西す。今一人も還るもの無し。縦い江東の父兄憐れみて我を王とすとも、我何の面目ありてかこれに見えん。縦い彼言わずとも、籍独り心に愧じざらんや」と。(中略)乃ち自ら頸を刎ねて死す。

【現代語訳】
そこで項王は東に進んで長江を渡ろうとした。烏江の宿場の役人(亭長)が船を岸につけて待ち構えており、項王に向かって言った。「江東は狭い土地であるとはいえ、領地は千里四方あり、人口も数十万人におよびますから、王となるには十分でございます。どうか大王様、急いでお渡りください。いま船を持っているのは私一人だけでございます。漢軍が追いついてきても、川を渡る手立てはございません」。項王は寂しそうに笑って答えた。「天が私を見捨てて滅ぼそうとしているのに、どうして長江を渡る必要があろうか。いや、渡るはずがない。それに私(籍)は、かつて江東の若者八千人を引き連れて長江を渡り西へ攻め入った。それなのにいま、生き残って帰る者が一人もいないのだ。たとえ江東の長老や親たちが哀れんで私を王として担ぎ上げてくれたとしても、私にどんな顔があって彼らに顔向けができようか。いや、合わせる顔などない。たとえ彼らが口にしなくとも、私自身が心に後ろめたさを感じずにいられようか。いや、恥じずにいられない」。こうして愛馬を亭長に譲り、自ら刃で首をはねて果てたのである。

前田 葵
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前田 葵

マーケティングと消費者心理のトレンドを分析し、現代のヒット商品の背景を読み解きます。