日本映画界に燦然と輝くカルトホラーの金字塔『富江 アンリミテッド』への出演も、彼女のキャリアを語る上で絶対に外せない重要なピースだ。伊藤潤二原作による伝説的な悪女・富江の世界観を、鬼才・井口昇監督が映像化した本作において、辰巳奈都子は美しさと狂気が同居する怪演を見せた。
血しぶきが舞う過激なバイオレンスとエロティシズムが交錯する中で、彼女が放った退廃的な魅力は圧巻の一言。恐怖に慄く表情から、見る者を惑わす冷酷な微笑みまで、肉体の美しさのみならず表現者としての豊かな引き出しをこれでもかと見せつけた。日本映画の歴史においても類を見ない特異な傑作の中で、彼女の女優魂はひとつの頂点に達したと言える。