定年退職を迎えたシニア層や、会社を離脱してネクストキャリアへ進むビジネスパーソンにとって、最も金銭的インパクトが大きいテーマが退職後の健康保険の損得比較(2026年最新情報)です。退職後の健康保険には「国民健康保険に切り替える」選択肢のほかに、在職時の社会保険をそのまま引き継ぐ「健康保険の任意継続」という制度が用意されています。ここで多くの人が「退職後の任意継続と国民健康保険はどっちが安いのか」という岐路に立たされます。
任意継続を選択した場合、会社が負担してくれていた50%の折半分が消滅するため、保険料は全額自己負担(在職時の2倍)になります。これだけを聞くと「倍も払うなら国保の方が安いのではないか」と早合点しがちですが、ここに強力なストッパーが存在します。それが健康保険の任意継続における2年間の保険料上限という仕組みです。
協会けんぽや各健保組合の任意継続保険料には、どれだけ現役時代に高い年収(数千万円など)を稼いでいたとしても、それ以上は上がらない「標準報酬月額の法定上限額」が定められています。例えば協会けんぽの場合、上限となる標準報酬月額は例年30万円(自治体により若干異なる場合あり)前後に固定されており、月額の納付額は約3万円(年間約36万円程度)が頭打ちとなります。一方で、国民健康保険の所得割にはこのような緩やかな上限設定はなく、最高限度額(2026年現在は医療・支援・介護分を合わせて100万円超)に達するまで所得に応じて青天井で膨れ上がります。
したがって、「在職中の年収が高かった人(概ね年収500万円以上)」や「扶養している配偶者や子供がいる人」は、任意継続を選んだ方が圧倒的に割安になります。逆に、「在職中の年収が低かった単身者」や、「退職に伴い前年所得が大幅に激減して数年が経過している場合」は、国保の方が安くなる余地が生まれます。任意継続の加入可能期間は最長で2年間と法律で厳格に定められており、1日でも保険料の納付期限を過ぎると即座に資格を剥奪されるという厳格なルールがある点には細心の注意を払わなければなりません。