ラムとマトンの違いとは?月齢や味の差からホゲットの真相まで徹底解明

ラムとマトンの違いとは?月齢や味の差からホゲットの真相まで徹底解明

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日本国内で長年囁かれてきた「マトン=強烈な獣臭がする」というネガティブな評判。このイメージが定着した背景には、生化学的な要因と、かつての日本の食肉輸入史における構造的トラブルという2つの側面が存在します。

まず、生化学的な観点から言えば、羊特有のフレーバーの源泉は赤身ではなく脂質組織にあります。羊をはじめとする反芻動物は、胃の中の微生物によって草の繊維質を発酵分解します。その過程で牧草に含まれる葉緑素(クロロフィル)が分解されて「フィトール」という物質になり、これがさらに代謝されて分岐鎖脂肪酸(BCFA:Branched-chain fatty acids)へと変化します。

この分岐鎖脂肪酸が加熱によって気化する際、羊肉特有の芳香分子を放ちます。成羊であるマトンは、長期間牧草を食べて成長するため、ラムよりもこの脂肪酸の蓄積量が多くなり、香りが濃厚になる仕組みです。つまり、マトン特有の香りは肉が傷んでいる合図ではなく、大自然の牧草を豊富に摂取して育った証しにほかなりません。

しかし、なぜ昭和や平成初期の記憶を持つ人々の間で「悪臭」と表現されたのでしょうか。その真相は、過去の冷凍管理技術の未熟さにあります。かつてオーストラリアなどから安価に輸入されていた冷凍マトンは、長時間の船便輸送や解凍工程において温度管理が甘く、脂質が激しく酸化(過酸化脂質化)していました。酸化した脂の悪臭と、本来の分岐鎖脂肪酸のアロマが混ざり合ってしまった結果、「食べられないほど臭い肉」という誤解が刷り込まれてしまったのです。

2026年現在の流通環境は、当時とは別次元の進化を遂げています。急速冷凍技術の確立に加え、オーストラリアやニュージーランドから一度も凍結させずにチルド(0〜2℃帯)で厳密に温度管理されて運ばれる「高鮮度チルドマトン」が普及しました。鮮度の劣化による酸化臭が排除された現代のマトンは、嫌味な臭みがなく、ナッツやハーブにも似た奥深い熟成香として高く評価されています。

斉藤 蓮
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斉藤 蓮

シンプルで洗練された住まいづくりとインテリアコーディネートのアイデアを提案しています。