「特養の空きが出るまでショートステイに預けておけば一安心」という安易な期待は禁物だ。制度の構造上、見落とされがちなロングショートステイデメリットが存在する。
第1の盲点は、「居室の固定が保証されない」点だ。ショートステイは予約制で動いている。事前に長期予約を入れていても、他の予約状況によって従来型多床室からユニット型個室へ、あるいは別のフロアへと居室の移動を頻繁に求められるケースがある。環境変化に極めて脆弱な認知症高齢者にとって、度重なる部屋の変更はせん妄や不穏を誘発する引き金になりやすい。
第2の盲点は、「医療連携と看取り対応の限界」だ。特別養護老人ホームの本入所であれば、配置医師や看護師による健康管理と看取り介護の体制が整っている。しかし、ショートステイは短期滞在を前提としているため、利用中に誤嚥性肺炎や心不全などで全身状態が悪化した場合、施設内での継続療養は原則として困難だ。救急搬送を経て一般病院へ入院となり、退院時には「状態が重度化したためショートステイへの再入所は受け入れられない」と拒否される事態が頻発している。
第3に、ロングショートステイケアプランの作成ハードルの高さだ。居宅介護支援事業所のケアマネジャーは、保険給付の限度額管理だけでなく、自治体への理由書提出や「在宅復帰に向けた支援目標」をケアプランに形式上盛り込む必要がある。不自然な長期利用が続けば、自治体の実地指導でケアマネジャー自身がペナルティを受けるリスクを背負うことになる。