メークインの個性を理解する上で欠かせないのが、もう一つの代表品種である男爵薯との比較です。明治時代に川田龍吉男爵がイギリスから導入したとされる男爵薯は、日本のばれいしょ栽培の歴史を切り拓いたパイオニアとして知られます。男爵薯の特徴は球形で目が深く、何よりデンプン含有量が高い点にあります。
一方、大正時代に導入されたメークインは、デンプン含有量が13〜14%前後と男爵薯に比べて低めです。デンプンが少ないため、加熱しても細胞同士が離れにくく、水分を保ちながら「ねっとり」「しっとり」とした滑らかな粘質性の食感を生み出します。このデンプン量の差こそが、調理時の崩れやすさや口当たりを大きく左右する化学的メカニズムなのです。