東宝シンデレラオーディションの最大の特徴とも言えるのが、「グランプリ以外の受賞者が規格外のブレイクを果たす」という現象です。その象徴が、2011年に開催された第7回オーディションでした。
この第7回では、グランプリに妹の上白石萌歌が輝いただけでなく、実姉の上白石萌音が審査員特別賞を受賞するという奇跡の姉妹同時受賞が実現しました。さらに、当時新設されたニュージェネレーション賞に選ばれたのが、当時10歳の浜辺美波です。加えて審査員特別賞には山崎紘菜も名を連ねており、後に「伝説の神回」と呼ばれるようになりました。
特別賞組がこれほどまでに台頭する理由は、東宝芸能独自のマネジメント方針にあります。
グランプリ受賞者には映画の主演デビューなど即戦力としての期待が集中する一方、特別賞受賞者には個々の資質に合わせた「中長期的なオーダーメイド育成」が施されます。例えば、上白石萌音は抜群の歌唱力と表現力を活かして舞台やミュージカル、声優(大ヒット映画『君の名は。』)で基礎体力を培い、その後のNHK朝ドラヒロインへと結実しました。
浜辺美波も初期は小さな役を丁寧に重ねながら演技力を磨き、映画『君の膵臓をたべたい』で日本アカデミー賞新人俳優賞を受賞。NHK連続テレビ小説『らんまん』のヒロインや、世界的大ヒットを記録した映画『ゴジラ-1.0』への出演など、今や日本映画界に欠かせない大スターへと登り詰めました。プレッシャーに潰されることなく個性を伸ばせる環境こそが、特別賞組の大躍進を支えています。