日本の子どもたちが「おばけ」というモチーフに対して抱く特別な愛着の原点には、半世紀以上にわたり読み継がれる、せなけいこ氏の不朽の名作絵本『ねないこだれだ』の存在がある。貼り絵特有のちぎれた輪郭、夜の闇に浮かぶ真っ白でユーモラスなシルエットは、幼い心に潜む「未知なるものへの恐怖」を「親しみ」へと変換する力を持っていた。
近代折り紙の父と称される吉澤章氏が提唱した「生命を紙に吹き込む」という思想は、一般社団法人日本折紙協会などを通じて今なお受け継がれている。厳密な寸分違わぬ正確さを競う折り紙とは対照的に、おばけのペーパークラフトには正解がない。絵本から飛び出してきたかのような有機的なフォルムを自分の手で作り出すプロセスは、文学的想像力と造形意欲が美しく交差する瞬間でもある。