建築現場で頻繁に飛び交う「やらず」という言葉の語源は、古語の「遣(や)らず(行かせない・帰さない)」に由来します。足場が外側へ倒れて「行ってしまわない(倒壊しない)」ように突っ張り棒で食い止めることから、業界の俗称として定着したとされています。
通常、仮設足場は建物の構造体に対して壁つなぎと呼ばれる金具をアンカーボルト等で緊結し、自立安定性を確保します。しかし、ガラスカーテンウォールのビル、改築前の傷つけられない外壁、あるいは外壁工事の工程上どうしても壁に穴を開けられない現場では、壁つなぎの設置が極めて困難になります。
そこで不可欠となるのが、足場本体の建地(垂直パイプ)から外側の地面に向けて斜材を張り出し、突っ張り構造を作る「やらず足場」です。風圧荷重や作業時の荷重によって足場全体が外側へ転倒する力を地面へ逃がし、自立できない仮設構造物を物理的に支え抜く重要な役割を担っています。