どれほど電子制御が進化しようと、ライダーの基本的な姿勢や操作の丁寧さが失われればシステムも真価を発揮できない。長年二輪車の安全普及に努めてきた本田技研工業をはじめとする国内主要メーカーは、スクール等を通じて「正しく止まるための身体の使い方」の重要性を訴え続けている。
減速時の基本は、強固なニーグリップによって下半身で車体を挟み込み、上半身の力を抜くこと。腕を突っ張ってしまうと、フロントサスペンションの滑らかな沈み込みを阻害し、セルフステア機能を殺してしまうからだ。警察庁が発表する二輪車交通安全対策の指針でも、正しい乗車姿勢の維持と繊細なレバー操作の徹底が繰り返し求められている。レバーを「力任せに握る」のではなく、指の腹で「引き寄せる」ようなタッチの獲得こそが、急制動時の圧倒的な安定感を生み出す。