「スーツは所有するもの」という長年の常識に亀裂が入っています。都内の大手百貨店や紳士服量販店への取材でも、20代から40代を中心に礼服や式典用スーツの購入を見送る顧客が目立つようになりました。最大の要因は、都市部特有の住宅事情と、着用頻度に対する維持コストの不均衡にあります。
一般的なビジネススーツを購入した場合、1着あたり3万〜7万円、礼服であれば5万〜10万円程度の初期費用が発生します。これに加え、年数回のドライクリーニング費用(1回あたり1,500〜3,000円)、防虫・防湿対策、そして3〜5年周期で訪れる体型の変化によるサイズアウトのリスクが常につきまといます。調査データによると、年間の着用回数が3回以下の層において、購入後5年間の1回あたり着用コストを算出したところ、1回あたり約1万8,000円から2万5,000円に達するという試算が出ています。
これに対し、都内のレンタルサービスを活用した場合、1回(3泊4日程度)あたりの相場は4,500〜1万5,000円前後。クリーニング不要で返却できるシステムが標準化されたことで、スーツ購入とレンタルどっちが得か理由と真相をシビアに計算したスマート層から、レンタルへの乗り換えが相次いでいます。