外食産業が直面する仕入れ価格の高騰を尻目に、ばんやが圧倒的なコストパフォーマンスを維持できる理由は、母体である保田漁業協同組合の構造にある。一般的な飲食店であれば「漁師→漁協→市場→仲卸→店舗」という長いサプライチェーンを経由するため、日数と中間手数料が必然的に積み重なる。しかし、ここは漁船が着岸する保田港の目と鼻の先だ。
定置網から引き揚げられた魚介は、セリ場を介して数十分後には厨房のまな板へと運ばれる。水産業の現場と客席がダイレクトに直結しているのだ。市場価値がつきにくい未利用魚や、規格外のサイズであっても、地元で愛される確かな味を持つ魚なら即座に日替わりメニューとして昇華される。流通の常識を覆すこのスピード感こそが、他の追随を許さない鮮度を生み出している。