本作の全エピソード中、最高傑作として圧倒的な支持を誇るのが大阪・道頓堀編(コミックス21〜25巻)です。東京チームが突如見知らぬ大阪の地に転送され、快楽殺人者のような退廃的メンタリティを持つ大阪チームと合流する展開は、読者のボルテージを極限まで押し上げました。
その頂点に君臨したボスが「ぬらりひょん」です。100点という法外な討伐スコアを持つこの怪物は、首を刎ねられても銃撃を受けても死なず、巨大な鬼、美女の肉塊が絡み合う異形、骨格の怪物など、無制限の形態変化を繰り返しました。いかなる物理攻撃も学習して即座に適応する生態は、それまでのガンツ兵器の優位性を完全に無効化し、文字通り「絶対的な絶望」を読者に植え付けました。
この化け物を打ち破ったのが、玄野を欠いた状況でリーダーシップを発揮した加藤勝でした。ぬらりひょんが「攻撃を意識していない不意打ち」に対しては再生能力の反応が遅れるという決定的な弱点を見抜き、身を挺した陽動作戦と狙撃の連携によって撃破に至った展開は、頭脳戦サスペンスの白眉といえます。
また、この戦いを通じて詳細が明かされた100点メニューの真実は、プレイヤーたちに残酷な選択を迫るシステムでした。
- 記憶を消去されて一般社会へ解放される:一見最も望ましいが、カタストロフィが迫る状況下では単なる延命に過ぎない。
- より強力な兵器(Zガン・巨大飛行ユニット・パワードスーツ等)の獲得:生存率は上がるが、さらなる激戦への強制参加を意味する。
- メモリーに残る死者を再生する:自分ではなく他者のために権利を行使する道。
加藤はこの権利を用いて親友・玄野計を復活させました。しかし、この「命の再生」すらも、終盤の真理の部屋で明かされる「魂のデータコピペ」に過ぎなかったという仕掛けは、読者に二重の衝撃を与える伏線となっていたのです。