高井麻巳子とおニャン子クラブのブレーンであった秋元康との交際が公になったのは、1988年5月の電撃結婚発表でした。当時、高井麻巳子は21歳、秋元康は30歳。アイドルとプロデューサーの結婚という前代未聞の事態は、芸能界のみならず社会全体に激震を走らせました。
ふたりの馴れ初めは、おニャン子クラブ発足初期にまで遡ります。グループ内屈指の正統派美少女としてソロデビュー曲「シンデレラたちへの伝言」でオリコン1位を獲得し、工藤静香や生稲晃子とともに結成した派生ユニット「うしろ髪ひかれ隊」でもセンターを務めた高井麻巳子。多くの作詞を手掛けた秋元康は、彼女が持つ文学的な静けさと聡明さに早くから惹かれていたと当時の音楽関係者は語ります。
当時、ファンクラブを結成し会報を発行した直後の引退劇であったため、ファンからは激しい反発と抗議が巻き起こりました。それでも彼女が芸能界への未練を一切見せず、「家庭に入り、夫の仕事を陰から支える」という選択を完遂した背景には、過熱するアイドルブームの狂騒から抜け出し、ひとりの女性として静謐な生活を重んじる強固な意志がありました。