近年の気候変容は、日本の農家や漁師たちに深刻な影響を与えている。猛暑の長期化や不規則な降雨により、これまで通りのカレンダーで作物を育てることは容易ではない。この過酷な現場において、飲食店と生産者のあり方を再定義した点も大きな特徴だ。
「決まった食材を大量に発注するのではなく、今日畑で一番状態が良いものを届けてもらう。農家さんが『今日はこれが最高だ』と言えば、その素材から逆算してその日のメニューを決めるんです」。そう語る白石氏の表情には、料理人としての矜持と生産者への深い敬意が滲む。ある日は規格外の小さな山菜が主役になり、またある日は一週間しか収穫できない希少なキノコがスープのベースになる。ここにあるのは、自然のサイクルに人間が歩み寄る究極のパッチワークだ。