事件の中心人物である下村早苗受刑者は、幼少期に家庭環境の変動を経験し、10代で結婚と出産を経験した。しかし、夫との離婚を経て単身で子供二人を育てることとなり、まともな生活基盤を築く間もなく窮地に追い込まれる。頼れる実家との関係も途絶えていた。
風俗店での勤務で日々の糧を得ていた彼女は、やがて自宅に子供を残したまま外出する時間を徐々に延ばしていった。最初はわずかな時間だったものが、やがて数日、そして最終的には1か月近くに及ぶ放置へとエスカレートする。密室の中で電気もガスも止められ、空腹と恐怖の中で息を引き取った幼子たちの苦痛は想像を絶する。彼女が現実逃避の果てに行き着いたのは、子供の存在そのものを思考から排除するという、あまりにも歪んだ防衛本能だった。