多くのプレーヤーが憧れる「理想のポケット」を作る手法として、伝統的でありながら今なお最前線で支持されているのが湯もみ型付けだ。約50度から60度のぬるま湯にミットを短時間浸し、革の繊維を柔軟にしたうえで叩きと揉みを加えて形を整える。硬い芯材に余計なダメージを与えず、狙った位置にピンポイントでポケットを形成できる点が最大のメリットだ。
職人が明かすポケット形成の肝は、「親指の軸を立て、ウェブ下から中央にかけて球道を作ること」にある。捕球面の中心にボールが吸い付くような凹みを正確に刻むことで、捕球時の衝撃が吸収され、弾きやすさが大幅に軽減される。ただし、湯の温度や浸漬時間を誤ると、革に必要な脂分が抜け落ちて劣化が早まるため、経験に裏打ちされた高度な感覚が必要とされる。