1960年代後半から1970年代にかけて、日本のテレビ界はお茶の間を舞台にしたホームドラマの全盛期を迎えました。その中心で圧倒的な輝きを放っていたのが、京塚昌子です。とりわけ1968年に放送を開始したTBS系ドラマ『肝っ玉かあさん』(プロデューサー・石井ふく子、脚本・平岩弓枝ほか)は、最高視聴率30%超を記録する社会現象となりました。
東京・本郷の蕎麦屋「大松庵」を切り盛りする主人公・大松五三子役を演じた京塚昌子は、時に厳しく、時に大きな愛情で家族や周囲を包み込む「母親の理想像」を見事に具現化しました。劇中で見せる豪快な食べっぷりや、思わず笑みがこぼれる温かな台詞回しは、高度経済成長期を駆け抜ける日本人の心を鷲掴みにしたのです。
さらに続く超メガヒット作『ありがとう』シリーズ(第1〜第3シリーズなど)でも、水前寺清子や山岡久乃らと息の合った共演を披露。プロデューサーの石井ふく子が手掛ける温情あふれる人間ドラマにおいて、京塚昌子の存在はドラマの成否を分ける絶対的な柱となっていました。