ネット上やSNSで囁かれる「サプリメントは肝臓に悪い」という言説は、決して根拠のないデマではありません。むしろ消化器病専門医や薬学関係者の間では、古くから重大な臨床課題として警戒されてきた冷徹な事実です。
肝臓は体内に取り込まれたあらゆる物質を無害化する「巨大な解毒代謝工場」です。口から入った栄養素や添加物、化学成分は腸管から吸収され、門脈を経由して真っ先に肝臓へと送り込まれます。一般の加工食品と異なり、サプリメントは特定の成分が自然界にはあり得ない超高濃度で凝縮されています。どれほど「天然ハーブ」「植物由来」とパッケージに美辞麗句が並んでいようとも、肝細胞にとっては処理しきれない外来異物(生体異物)に他なりません。過剰に濃縮された成分が解毒酵素のキャパシティを限界突破させた瞬間、肝組織は激しい酸化ストレスに晒されます。
医療現場において「サプリメント肝機能障害」として現れる病態には、大きく分けて2つの決定的なメカニズムが存在します。
第1に、摂取量が増えるほど肝細胞が直接的な毒性ダメージを受ける「中毒性肝障害」です。脂溶性ビタミンや鉄分、特定の高濃度ポリフェノールなどがこれに該当し、蓄積によって肝細胞膜が破壊されます。
第2に、成分に対する免疫反応が暴走して自らの肝細胞を総攻撃してしまう「特異体質性(アレルギー性)肝障害」です。こちらは摂取量の多寡にかかわらず発症し、一般的な体調不良や風邪薬の併用をきっかけに突然免疫システムが誤作動を起こします。健康診断の血液検査で確認されるAST・ALT数値悪化の理由は、まさにこの破壊された肝細胞から酵素が血液中に激しく漏れ出しているシグナルです。また、胆管が炎症を起こして詰まりを生じることでビリルビンやアルカリホスファターゼとともにγ-GTP上昇サプリメントの毒性が表面化し、取り返しのつかない重症肝不全へと進行するリスクを孕んでいます。