エンターテインメントが対馬を照らし出す光であるならば、その光を受ける大地には幾重にも重なる本物の歴史が存在する。対馬の魅力は、架空の物語を凌駕する生々しい史実の厚みにある。
西暦667年、白村江の戦いを経て大和朝廷が国防のために築かせた金田城。その山頂から望む朝鮮海峡は、古代からこの島が背負ってきた地政学的な緊張感を今に伝える。島の中央に広がる浅茅湾のリアス式海岸は、古代から天然の良港として遣唐使船や朝鮮通信使を迎え入れてきた。
山肌を覆う原生林には、国の天然記念物であるツシマヤマネコをはじめとする希少な生態系が息づく。修験道の霊峰として崇められてきた白嶽の岩峰に立てば、太古の神道信仰と自然崇拝がこの島でいかに純粋な形で守られてきたかが理解できる。メディアのスクリーンを入り口としてやってきた旅人たちは、フィクションの背後に広がるこの圧倒的な「本物の重み」に直面し、深く心を奪われるのだ。