前川清の歌唱スタイルといえば、直立不動の姿勢から繰り出される顎と喉を柔軟に使った細かなビブラートと、感情のひだをなぞるような絶妙なこぶし(装飾音)です。『恋唄』をモノにするための実践的なテクニックを3つのステップで紐解きます。
① フレーズ頭の「しゃくり」は控えめに、母音を柔らかく立ち上げる
歌い出しから演歌のように過度なしゃくりを入れると、クール・ファイブらしい都会的なムードが崩れてしまいます。言葉の頭はソフトに発音し、子音よりも母音(ア・イ・ウ・エ・オ)を前に押し出すイメージで声を通します。
② 語尾の「ちりめんビブラート」をコントロールする
伸ばすロングトーンの後半に、周期の均一なビブラートをかけます。前川清特有の震えを再現しようとして喉を締め付けるとピッチが不安定になるため、腹式呼吸で一定の呼気を保ちながら、喉仏の力を抜いて音を揺らす感覚を掴むのがポイントです。
③ サビの感情爆発は「息の量」でコントロールする
サビの盛り上がりでは、大声を張り上げるのではなく、声に混ぜる息の量を増やすことで切迫した切なさを演出します。マイクを口元から指2〜3本分ほど離し、息混じりのハスキーなトーンを響かせると、聴き手を惹きつけるドラマチックな歌唱に仕上がります。