五十嵐氏が中国本部長を務めた時期は、中国政府の「新エネルギー車(NEV)」普及政策が急速に進展し、現地EV専業メーカーがシェアを急拡大させていた激動期でした。内燃機関で高いブランド力を誇っていた日系メーカーにとって、かつてない事業環境の転換を迫られた局面です。
この難局において、五十嵐氏は従来の延長線上にないスピーディーな意思決定を下しました。ホンダ初となる中国発のグローバルEVブランド「e:N(イーエヌ)」シリーズの市場投入を強力に推進したほか、車載電池世界最大手であるCATL(寧徳時代新能源科技)との長期パートナーシップ締結を主導。現地での安定したバッテリー調達網を構築しました。
業界内における五十嵐氏の評判は、「市場の変化を冷静に見極め、躊躇なくリソースを再配分できるリアリスト」という見方が定着しています。現地の合弁パートナーや中国政府関係者とも粘り強く交渉を重ね、対立を恐れずに協調関係を築き上げた手腕は、社内外から高い評価を獲得しました。