スクリーンやブラウン管では、近寄りがたいほどのダンディズムとニヒルなオーラを漂わせていた天知茂ですが、私生活では家族思いの温厚な夫であり父親でした。
苦積み時代が長かった新東宝時代から彼を陰で支え続けた妻の節子さんとは、非常に強い絆で結ばれていました。撮影がオフの日には自宅で家族と静かに過ごす時間を何より大切にし、スタッフや共演者を自宅に招いては手料理でもてなすなど、飾らない人柄で周囲から深く慕われていました。
仕事に対しては厳格そのもので、自宅の書斎に籠もって台本と向き合う日々が続いていましたが、家族に対しては常に穏やかで、大きな愛情を注ぎ続けました。突然の別れに直面した家族の悲痛は計り知れないものでしたが、没後もその気品ある生き様は家族やファンによって大切に語り継がれています。